『20世紀少年 最終章 ぼくらの旗』 新作映画批評 ネタバレあり(ともだちの正体は彼・・)

映画『20世紀少年 最終章 ぼくらの旗』を観賞してきました。これから物語の核心部分に触れた感想を書きます。公開して日も浅いため、これから観に行きたい人は絶対に観てから感想を読んでください。はっきり言って僕の評価は決っして高くはありません。個人レベルでいえば、観た人が100名いたら100通り感じ方が違ったと思うので、この作品を評価した人ももちろんいるのは構わないと思ってます。僕が唯一評価できる点は、映画をイベント化した点だけです。登場人物をマンガのキャラクターそっくりに配役したのがその最たる例ですが、“ともだち”という正体不明の悪役を利用しマンガ原作とは違った展開や謎を配し映画を3部作作ったのはすごかった。作品評価とは別次元で、良かれ悪かれ話題を提供し、みんなが語れる映画として楽しませていただいたのは紛れもない事実。それを踏まえてここから先のネタバレを読んでください。僕の感想までプロローグがついてしまった。苦笑。

しかし166分は長かった。物語冒頭に第1章、第2章のプロローグを挟んでいるので、随分親切な映画にしているなぁと期待していたのですが、最終章が始まった途端に一見さんお断りの悪夢の展開がスタート。前2作で捲いた伏線の回収を優先するあまり、辻褄合わせに終始していて肝心の物語がおいてけぼり。エピソードを拾い過ぎ、全体的にとっちらかっている印象は否めない。中には原作そっくりの演技で評価が高かった小泉響子もほとんど出番なし。前半はずっと画面に映るたびにお菓子を食べさせられてかわいそうなほどだ。

これから観に行く人は覚悟してください。ひどくバランスが悪く、突っ込みどころが満載な映画です。TBSラジオ ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル内の映画批評コーナー ザ・シネマハスラーでは本年度ぶっちぎりのワースト1映画の勲章を獲得。観ていて最初の1時間30分はとにかく苦痛、頭痛くなってきます。登場人物も多く第2章公開時から時間も経っているので、主要登場人物たちの置かれている立場や状況がさっぱり分からない。ケンジを含む昔の仲間たちが合流してくる展開はドラマチックで良いと思うのですが、時間経過の欠陥、音楽のつけ方のチープさ、登場人物が長台詞で朗読劇をしてしまうなど、駄目映画の王道パターンにハマっていて、散々な内容。泣けるシーン泣ける音楽をかぶせてくるワンパターンは、今回も修正できていない。唯一、映画の中で心が動くのは、最後のコンサートシーン。ここは盛り上がるので見どころのひとつ。“ともだち”が撃たれた後のエンドロールはフェイクなので、席を立たないでください。

最終章とうたっているだけあり、試写会でも隠していたエンドロール後のエピローグ ラスト10分だけはとてもよくできていた。“ともだち”の正体”にもこの間に決着がつく。

物語の核心“ともだちの正体”は一体誰か?! 最終章の中で、覆面(お面)を取るのは3人。まず最初にクローズアップされるのは“ヨシツネ”。ヨシツネが血の大みそかの時には未完成で、新型として爆弾を搭載して登場するロボットの操縦者“ともだち”の替え玉として登場します。物語上では“オッチョ”が“ともだち”の正体は“ヨシツネ”かもしれないという台詞を前振りで言っているため、このシーンは観客も想像できると思う。

その後、出てくる本物の“ともだち”。彼の正体は、フクベイ(服部“ハットリ”=>>フクベイ)。本人(佐々木蔵之助)が出てくるのですが、実は本人ではない。フクベイはすでに死亡しており、フクベイになり済ました偽物は正体がわからないまま撃たれてしまう。じゃあ、一体フクベイではない誰が“ともだち”なのか?!

“ともだち”の正体は・・・、神木隆之介が演じる・・・フナの解剖が得意な勝俣君。そう、勝俣君が“ともだち”の正体だったのだ。

シリーズとして見たときにこの作品の評価はとても低い。あえて言えばラスト10分はつき合ってきた我々へのプレゼントになっており、奇跡的に屈指の名シーンになっている。このシーンがこの作品の“第1章 終わりの始まり”冒頭に繋がるという作品の輪廻(ループ)構成になっているのは面白いなと思った。ぜひ、機会があれば確かめてほしい。ともだちがいなくて寂しかった勝俣君の自殺を止めたのが、ケンジが放送局を占拠してレコードをかけた“T-REX”の音楽であり、勝俣君の最初のともだちが“ケンジ”であったり、未完成の『ボブ・レノン』の歌詞に勝俣君が関わっていく展開は救いがあるエピローグでよかった。でも、バーチャルマシーンはタイムマシーンではないので、なにも解決にはなっていないんだよなぁ。ドラえも〜ん!!

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