人生に乾杯! シネマテークたかさき

Földi Teri és Keres Emil a bankban

あらすじ 

運命的な出会いを機に結婚したエミルとヘディも、今では81歳と70歳。お互いに恋に落ちたころのことなど、すっかり忘れていた。社会も時代も変わって、年金だけでは暮らしていけない世の中。つつましやかな生活をしているのに借金とりに追われる毎日が続き、ついに二人の出会いのきっかけだったダイヤのリングまでも、借金のカタに取られてしまう。あまりに高齢者に冷たい世の中に怒りを覚えた夫のエミルは、大切なイヤリングを取り戻すため、持病のギックリ腰をおして、20年ぶりに愛車のチャイカを飛ばし、なんと郵便局を紳士的に強盗!それを皮切りに次々と紳士的な強盗を重ねていく。一度は警察に協力したヘディも、奮闘する夫の姿にかつての愛しい気持ちを思い出し、手を取りあって逃げる決心をする。二人の逃避行は、多くの民衆を巻き込んで、思いもかけない展開に。年齢などものともせず、“自分の正義”のために一歩を踏み出した、二人の絆で勇気ある行動。譲れない幸せへの思いが生み出した奇跡は、今の時代を生きる私たちに忘れかけていた“大切な何か”を思い起こさせてくれます。

前から観たかったミニシアター系映画『人生に乾杯!』がシネマーテークたかさきで公開されたので観賞してきた。第38回ハンガリー映画週間 観客賞、部門賞受賞しているだけあって、“逃避行劇”である物語がぶっ飛んでいて面白かった。登場するおじいちゃん、おばあちゃんがチャーミングでワイルド。額に刻まれた年輪の数ほどパートナーを信頼し愛し合うことの大切を教えてくれる。雇用問題が影を落とす日本。これから少子高齢化がすすみ、“年金だけで暮らしていけるのか”という高齢化社会に警笛を鳴らす映画の裏テーマも遠く異国で観る我々にも切実さを感じさせる。

ふたりの出会いは1950年代。共産党員の運転手だったエミルと伯爵令嬢のヘディ。身分差を越えた禁じられた恋だったり、徐々に明らかになる逃避行劇の目的が1971年に亡くなった二人の子供の墓参りであったり、おじいちゃんが70歳の誕生日記念に拗ねていたおばあちゃんにバースディケーキをサプライズするシーンなど積み重ねられるエピソードと名セリフが秀逸。爆発炎上する愛車チャイカの姿で後味悪く終わるのかと思ったら、彼らが存命していることを匂わすエピローグ。それまでに散りばめられたフラッシュバック映像から、『実は・・・』という大どんでん返し。前のめりすぎる老人カップルの生き方に思わずニンマリしてしまう。逃避行劇でありながら、人生のロードムービーとしても楽しめる快作。おじいちゃん、おばあちゃん、海は見えましたか?

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