電脳シネマ塾 第16回『FOLLOWING フォロウィング』

全編モノクロで撮影されたクリストファー・ノーラン監督衝撃のデビュー作。監督のほか脚本、製作、撮影、編集の5役を自ら担う。一見難解なパズルにみせながら、ラスト20分でシャッフルされた映像のピースがすべて繋がって“本当の物語”が姿を現す快感は特筆すべき。頭に渦巻いた霞が消えていく興奮は実際の映画を見て体感してほしい。DVDには本編とは別に時間軸を追って再生できるクロノジカル・シークエンス再生機能あり。

あらすじ

他人の秘密を知りたいというささやかな欲望にとりつかれた男が巻き込まれていく事件と張り巡らされた罠・・・。交錯する時間軸で進行するストーリーは『メメント』以上に複雑な構成で観る者を翻弄する。キャッチコピーは、ささやかな好奇心。それがすべての始まりだった。

作家志望のビルは好奇心で赤の他人を尾行する癖をもつ。ある日も路上を歩く“バックをもった男”を尾行していたところ、喫茶店でこの男にばれ、コッブと名乗ったこの男の仕事である“不法侵入と私生活の覗き見”を手伝うことに。冒頭から時間軸が前後して展開するので、慣れるまでに少し戸惑うかも。他人の私生活を覗きみる変態の話かと思ったが、幾重にも伏線が張りめぐらされており、物語が半分過ぎるまで真実が見えてこないので緊張感も次第に高まっていく。70分という短い尺を緻密に計算して物語が組み立てられており、実は一切無駄なカットがない。ビルが髪を切りスーツを着ている訳、ビルが顔が腫れるほど殴られている意味、物語でたびたび出てくる刑事とのやりとり、“D・ロイド”の正体、惚れた女の結末など画面から一瞬たりとも目が離せない。惜しむらくは、映画の情報量が多いため、モノクロが仇になり細部まで理解できないシーンが幾つかあった。しかしそれを差し引いても文句なく傑作。

フォロウィング [DVD]

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フォロウィング(1998) - goo 映画
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