電脳シネマ塾 第8回 『FARGO(ファーゴ)』


20世紀少年』作者の浦沢直樹氏が浦沢直樹読本の中で一番好きな映画に挙げていたコーエン兄弟の映画『FARGO』を見てみることにした。

CasaBRUTUS特別編集 浦沢直樹読本 (マガジンハウスムック CASA BRUTUS)

CasaBRUTUS特別編集 浦沢直樹読本 (マガジンハウスムック CASA BRUTUS)

あらすじ(市販用DVDパッケージより)

ノース・ダコタ州 ファーゴ。多額の借金を背負い生活が破綻しそうな自動車セールスマンのジェリーはどんでもない解決方法を思いつく。前科者2人組のカールとゲアに妻を偽装誘拐させて自動車業界の大物である祖父から身代金をだまし取ろうというのだ。しかし手際よく偽装誘拐など出来そうにみえない2人組は、案の定、警官と目撃者を撃ち殺して連続殺人事件に発展させてしまう。事件の解決に当たるのは、妊婦の女警察署長マージ。犯人の残した証拠を丹念に追求し、次第にジェリーに照準を合わせていく。はたして、事件はどういう決着を見るのだろうか?

コーエン兄弟が描く狂言誘拐を元にした仮想実話に基づくサスペンス調のブラックコメディ映画(“実話”と作品冒頭に表記があるが、ウィキペディアを読んだらこれはフェイクで、コーエン兄弟の作品にありがちな遊びで、完全なるフィクションが正しい)。連続殺人事件の猟奇描写と雪景色のシーンが多いためか作品全体に張り詰めた緊張感が漂う。突発的に起きる殺人、それに端を発した“負の連鎖”が起きていく過程が緻密な計算によって描かれ、理解しがたい殺人の恐ろしさを醸し出す。作品中に精神を病んだ旧友が出てくるのだけれど、彼が異常に見えないのが逆に恐ろしい。カメラは固定して長回しで撮影しているシーンが多く、シーン同士をつなぐ“前後の間”には画面を真っ暗にした不気味さを煽る演出あり。昨今の映画に比べれば98分は短いが、冒頭からのっぴきならない物語が展開し、サイの目を振っているかのように、予測不能の展開を見せていく。

ファーゴ(1996) - goo 映画
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