『私の中のあなた』　新作映画レビュー　ネタバレあり

この秋一番のおすすめ作品と言われる映画『私の中のあなた』を見てきました。２時間という上映時間の中でいろいろなことを考えさせられる作品で、最後の１５分は感涙で心震えました。僕はまだ結婚もしていないので、実際に子供を産む立場の女性の見方や家族のいる人とは感じ方が違うと思うので、自分の意見とも比較して読んでほしいのですが、久しぶりに骨太の人間ドラマで鑑賞後も余韻が残り、心に抜けない棘が刺さっている感じです。

キャメロン・ディアスも３人の子供をもつ母親を熱演。子役たちも抜群に演技が上手く、本当の親子のようです。物語のテーマは重いですが生きることの意味を深く深く考えさせる作品です。白血病の娘ケイトの生き方を軸に、家族の絆、母子の愛、姉ケイトのドナーを目的として試験管ベビーとして産まれた妹アナの苦悩、死を受け入れていく生き方、といった具合に、ひとつひとつのテーマがじっくりと描かれていきます。とくにケイトと同じ病気に犯されているイケメンのテイラーとの短い恋がせつない。大好きな人を失った直後の損失感、しかも自分も同じ病気・・・、辛いです。

この作品の一番の肝でありネタバレ。母親を訴えたアナが隠してきた真実。法廷シーンで長男ジェシーにより“ケイトが死にたがっている”という衝撃の真実が明らかにされ、ひとり動揺する母親のサラ。このあと病室で死が迫ったケイトと２人きりになったとき、最後に“私の人生”といって渡す手作りのアルバム。“わたしの人生はお母さんのおかげで素晴らしいものだったよ”ってあの一言いわれたらもう何も言えない。僕が父親で娘からあの一言いわれたら、やっぱり辛くて泣く以外できないと思う。挿入歌なども効果的にたくさん使われていて、綺麗にまとまっている映画だと思います。ひとりの“生と死”が、家族に“残すモノ”は大きいのだなぁと、映画のラストエピソードを見ていて感じました。デート映画としては重すぎるかもしれないが、本気で結婚を意識している恋人がいるなら観ておくといいかも、おすすめ。