『ヒックとドラゴン』 新作映画批評 ネタバレあり 群馬映画研究会
前田有一氏の『超映画批評』で絶賛されていたドリームワークスのCGアニメーション映画『ヒックとドラゴン』を観賞。噂にたがわず今夏の大穴にして大本命。恐竜トゥースのデザインが馴染めなくて、敬遠している方もいるかもしれないが、とにかく映画館に出掛けて体感してくれ!僕はユナイテッドシネマ上里が2D版しかやってくれなかったので、しかたなく2D版で観てしまったが、遊園地のライド的な面白さを多分に含んでいる作品なので間違いなくおすすめは3D版。
『トイ・ストーリー3』も確かに恐るべき完成度とシリーズ最終作のラストに涙を誘うが、こちらはバイキングの少年成長物語であるので単純明快。それでいて小さい子供から大人のカップルまで楽しめる間口の広さ。とにかく実写と遜色ない背景美術が素晴らしすぎて、ため息が出るほど(とくに光と影まで計算したライティング効果)。また縦横無尽に画面を飛び回るアニメーションの動きに最初から最後まで釘づけで、大興奮。
ゾワゾワと3度鳥肌が立った。一番最初にトゥースにまたがり大空を駆けるシーンは、この映画のベストオブベスト。急旋回や急降下など手書きアニメーションでは表現できなかったアングルからのスピード感にしてやられた。また忘れてならないのがトゥースにヒックが触れようと手をのばすシーンは、E.T.のあの有名なシーンを彷彿させる感動がわきあがる。
正直、宮崎駿リスペクト的な部分も見受けられるが、全盛期からパワーダウンが否めない本家スタジオジブリを越えたアニメーションといっても差し支えないでしょう。ジブリもうかうかしてると足元すくわれるよ。
ここから先は衝撃のネタバレになりますので、これから見る人は観てから読むように。
最後、少し大人びた表情になるヒック。しかし、彼は世界を救った代償に左足を失ってしまう。これはかなり観客にとってもショッキングなシーンである。お調子者で軽口を叩いていたヒックから奪ったのが身体の一部とは・・・。ヒックが救ったのが傷ついて飛べなくなったトゥースであり、トゥースが命をかけて救ったのが人間的に成長したヒック。たぶん、ディズニーやピクサーのアニメーションとの決定的な違いが、この毒気を含んだシーンが“あるか”“ないか”でないだろうか。小さい子供と何か一本見るならこれ以外考えられない。夏休みの忘れられない映画体験におすすめ!!
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ヒックとドラゴン公式サイト
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