シャッター・アイランド 群馬映画研究会 新作映画批評 ネタバレあり

SHUTTER ISLAND

主演レオナルド・ディカプリオ×監督マーティン・スコセッシのコンビが贈る極上のミステリー映画『シャッター・アイランド』を妻である瑠沙と鑑賞。原作は物語の核心部分をなんと“袋とじ”で発売。また映画の公開時期が延期されていたので、多くの観客も期待値(ハードル)を上げて劇場に足を運んでいるはず。かくいう私もそうだ。それだけに真のラストを見た観客の評価は割れるはず。

あらすじ(ウィキペディアより)

シャッターアイランド精神疾患のある犯罪者を隔離収容する孤島の刑務所。ここで1人の女性が、謎のメッセージを残して跡形もなく消えた。

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戸田奈津子が絡んでいる超日本語字幕版のほうがブログネタとしては惹かれたが、瑠沙がいるので今回は字幕スーパー版を見た。ちなみに瑠沙は勘が良いので、観賞前に登場人物の人間関係から犯人を推測し当てました。すごい。

この映画は一言で言うと、自作自演乙映画。プロモーションで煽れるだけ煽ってハードルを上げている「衝撃のラスト」に対しては疑問であるが、幾重にも分岐し大風呂敷を広げた物語の終着点としては納得がいった。謎が増えたり、伏線によるヒントを推理したり、物語の全貌が次第に明らかになっていく過程は純粋に楽しい。人体実験が繰り広げられているとされた灯台での結末が判明するシーンはもう少し盛りあげてもよかったと思う。

物語が始まる前にご丁寧に表示される役者の表情、小道具、台詞などに集中して観賞するように注意を促す表示が出るが、僕も瑠沙も大筋は理解できたので、複雑怪奇な物語ではない。逃げ場が限定された孤島の収容所で起こる事件だが、殺人が頻発するような類の話でもない。レオナルド・ディカプリオは30代半ばにして随分老けてしまったが円熟味は増しており、最初から最後まで苦悩の役をうまく演じていたと思う。

さてここからが本題。

驚きの結末を含めたネタバレを含む感想。物語は1954年ボストン郊外の隔離された孤島シャッター・アイランドで起きた謎の失跡事件に端を発している。レオ様の初登場シーンは船に酔い、トイレでゲロゲロ。とてもタイタニック号に乗っていたとは思えない醜態。禁断の島に上陸後は序盤から重低音で響いてくる物々しい音楽が鳴り響き、ピーンと張り詰めた緊張感が続いていく。シャッター・アイランドと呼ばれるこの不気味な孤島の収容所で起きた女性失跡事件。そして、一癖も二癖もある登場人物たち。保安官テディが胸に秘めた真の目的は愛する妻と3人の子供を殺しこの収容所に収容されている放火魔フェリスを探しだすこと。

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私は最初、相棒でお目付役をやっているチャックが悪い奴だと思って見ていた。途中、薬を飲まされたり幻覚をみる頻度があがっているテディの身体に起きていることも尋常ならざることで、中盤から推理が徐々に揺らいできて、灯台に行く前後ぐらいで“あっ!これはもしかしてテディに何かあるのかも”と思って見ていたが、まさにその通りの結末でした。

謎を紐解けば相棒チャックはテディの主治医。3人の子供を殺したのはテディの妻。ナチスの収容所解放に立ちあった話、そしてフェリスの放火事件はテディの幻想。テディはこの施設の67番目の患者であり、彼が自殺願望をもつ自分の妻を殺した張本人アンドリュー・フェリスの偽名(メモに残された4の法則は名前に用いられたアルファベット配列を指す)。結局、テディは更生することができない重度の精神障害患者だったというオチ。

衝撃のラストと煽った謳い文句にやや不満はあるもの、ディカプリオの素晴らしい演技に救われ、久しぶりに骨太のミステリー映画が見れて満足。

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このあと、奥さんを撃ち殺します。

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(2010/03/24)
サントラジョニー・レイ

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