『インセプション』クリストファー・ノーラン監督×レオナルド・ディカプリオ主演 最新作3日間限定先行上映観賞レポート 新作映画批評 群馬映画研究会課題映画 ネタバレあり

Inception Movie Poster

今夏もっとも楽しみにしていた映画『インセプション』3日間限定の先行上映に東京で遊びまくって疲れた体で挑んだ。劇場は109シネマズ高崎。レイトショーにかかわらず6、7割埋まっていた。ただし、小さなスクリーン。物語は冒頭から、観客に夢と現実の行き来を強いるため、難解で多重構造の様相を呈している。映画公開時期から数か月でソフト化、映画を何度も見るという行為が当たり前になっている今、すべての内容が理解できずとも鑑賞するたびに新しい発見がある映画があっていいと思う。この映画、2度3度、人によっては4度ぐらい見ないと内包しているテーマや登場人物たちの台詞の意味を汲み取ることができないと思える。そのくらい台詞に込められたひとつひとつの意味や1カットごとの画面密度がハンパない。久しぶりの骨太で超重量級映画。正直、私ですら前知識なしで挑んで1度の観賞では物語の6、7割程度の理解しかできなかった。

Inception

あらすじ(ウィキペディアより)

主人公のドム・コブ は、人の脳内に存在する潜在意識に入り込むことでアイディアを"盗み取る"特殊な企業スパイ組織の一員である。コブは妻モルと共に夢の中へ幾度となくダイブし、潜在意識の深い階層で妻と二人きりの時間を楽しんで暮らしていたが、その生活は夢と現実の判別を困難にしてしまい、現実世界における表在意識にも大きな影響を与えかねない危険な行為であった。現実世界の数時間が数十年にも感じてしまう深い夢の中でとったコブのとある行為は、結果として最愛の妻を死に追いやってしまった。これにより、コブは妻殺害の容疑の為に家に2人の子供を残しての逃亡生活を余儀なくされる。また、このことにより大きな罪悪感に苛まれたコブは、夢の中に自身の罪悪感が投影されて生まれた妻モルの幻影により苦しめられることとなる。 罪悪感に苛まれながらもスパイとして働いていたコブのもとに、斉藤(劇中表記は「サイトー」)という大企業のトップであり強大な権力を持つ日本人が現れる。コブと相棒のアーサーは彼から仕事を依頼される。依頼内容はライバル会社の解体と、それを社長の息子ロバート・フィッシャーにさせるようアイディアを"植えつける(インセプション)"ことだった。困難かつ危険な内容に一度は断るものの、妻殺害の容疑をかけられ子供に会えずにいるコブは、犯罪歴の抹消を条件に仕事を引き受けた。

サイトーに仲間を集めるよう指令を受けたコブは、義父の教え子で建築学を学ぶ優秀な学生であるアリアドネを「設計士(夢の世界を自由に構築する)」、個の戦闘力にも長け心理戦も得意とするイームスを「偽装士(他人になりすましターゲットの思考を誘導する)」、街で怪しげな薬局を開業しては様々な人に鎮静薬を処方しているユスフを「調合士(夢の世界を安定させる鎮静剤を作る)」としてそれぞれメンバーに加え、これにアーサー、斉藤を加えた6人で作戦を決行した。飛行機内で眠るロバートの夢の中に潜入したコブ達は、ロバートを拘束した矢先に手練の兵士たちによって襲撃を受けてしまう。これはロバートが企業スパイに備えて潜在意識の防護訓練を受けており、ロバート自身の意識が護衛部隊を夢の中に投影させていた為であった。インセプション成功の為に更に深い階層の夢へと侵入していくコブたち。次々と襲い来るロバートの護衛部隊に加え、妻モルまでもが妨害を始めた。さらに曖昧になる夢と現実の狭間、迫り来るタイムリミット…果たしてインセプションは成功するのか。

この映画は、夢の中へ深く深く潜って帰ってくる話。夢が壊れていく描写に重きを置いているため、色々考えさせられる。映画『ダークナイト』で時の人となったクリストファー・ノーラン監督は見たことない無重力でのド派手なアクション、キャラ立ちしている魅力的な登場人物たち、哲学的なテーマを盛り込んだ難解な台詞、巧妙に張り巡らされた伏線を見事に融合させた。

気付いた点

■冒頭のシーン。階層に潜って順々に眼がさめていく描写がいまひとつ飲み込めなかった。サイトーが出てくるシーンで、いきなり日本語出てきて、また英語になるし。
■夢に潜る練習のシーン。予告編に投入されたのがこの辺。次々に街が壊れ、街が反転したり、大スペクタクル。
■夢に囚われたモルを現実に戻そうとコブはインセプションしていた。それが引き金でモルは現実と夢の区別がつかなくなり自殺。コブは自責に悩まされる。
■エレベーターで地下に降りたアリアドネがモルに合う場面で発狂していたモルは潜在意識の偶像化
■サイトーを虚無から連れ戻す際の描写が唐突な感じがしたが、あれはなんで?
■ラストシーン。子供たちに会えることになり、家に戻ったコブ。しかし、くるくるコマが回っていた。あれは夢?現実?

Inception Movie

密度が高く1度の視聴では理解できないため、最初に見た際の評価は割れるだろが、間違いなく10年代の映画史にその名を刻んだ大作と呼べるだろう。

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